ラムゼイ・ハント症候群(顔面神経麻痺)が、鍼灸施術により改善した症例 (大阪市 30代 女性)
お悩みの症状
今回の患者さんは、顔面神経麻痺の一つである、「ハント症候群」の方です。「ラムゼイ・ハント症候群」とも言われ、 幼い頃にかかる、水疱瘡(水痘)のウィルスが原因となる疾患で、 その時に顔面神経の膝神経節と言われる部分にウィルスが潜伏していると、 過労などで免疫力が低下した際に、帯状疱疹と同じように顔面神経へウィルスが炎症反応を起こすために、顔面神経の麻痺や、近くにある内耳や外耳へ影響し、耳の痒みや、耳の中に帯状疱疹ヘルペスができると痛みがでます、それに加えて突発性難聴も出現します。
上記の症状がすべて出ている場合は完全型とし、 顔面神経麻痺が存在し、加えて上記の症状がどれか1つ以上ある場合は不完全型と呼ばれます。
今回の患者さんは、インフルエンザになった後、右顔の動きが悪くなり、「ラムゼイ・ハント症候群」と言われたようで、発症して4年ほど経過していましたが、 初期の間に「顔面神経減荷術」という、顔面神経を覆っている骨を除去する手術を行い、経過をみていました。
手術後の経過があまりよくなく、数件の鍼灸院へもそれぞれ継続的に行かれたそうですが、変化があまり出ずに諦めかけていたとのことでした。
治療方法
1.カウンセリング・検査
2.脈診、舌診、腹診で体の状態の把握・症状と照らし合わせる。
3.ハリの説明を治療前に行う
4.上向きで手足と頭に数本ハリを打つ
5.抜いてうつ伏せになり、背中にハリを打つ
当院での治療後の患者様の感想
最初のご来院時は、うがいや、口をすぼめたり、口笛を吹くように口をとがらせることがほとんどできない状態でした。また、共同運動といって、口を動かすと目が閉じたり、鼻周りが痙攣したりするような症状も出ていました。
この共同運動というのは、顔面神経麻痺があってからしばらく経過して出る事が多く、初期の段階で筋肉を動かしすぎたりすると、神経が本来の場所と違う場所へ伸びてしまい、普通とは違う動きをしてしまう状態です。
基本的に、共同運動が出ている場合は、その症状は中々取りにくいものになってしまいます。
一度伸びてしまった神経は元に戻すのは難しいので、初期の鑑別が非常に大切になります。 むやみに顔面部へ過剰に刺激してしまうと、かえって共同運動を起こしたり、症状を悪化させかねないのです。
今回の患者さんの場合は、発症から長期間が経過していましたので、最初のから数回の施術では過剰な刺激にならないようにしましたが、その後は、徐々に施術方法を変えていき、麻痺や共同運動に対しての施術をしていきました。
例えば、お灸をしたり、特定のツボへ刺激をしつつ、通電といって、低周波の電気を流して筋肉をトレーニングしたりするような施術法です。
初期の段階では無い場合でも、施術法を誤ってしまうと経過が良くない場合もあるため、当院では今までの経験をしっかり反映させて施術を進めていきます。
今回の方は、施術を重ねるごとに徐々に軽減し、今ではうがいや口すぼめなどの動きもほとんど問題が無く行えるようになっていきました!
また、病的な共同運動に関しても、初期の頃よりも落ち着き、あまり気になることが無くなったようです。
これは、東洋医学的には「風(ふう)」という邪気が関係しており、東洋医学的にその「風」を除去する施術も並行して行っていたため、改善していったケースです。
このように、顔面神経麻痺の病態や経過は様々ですが、しっかりと鍼灸施術をすれば、改善していく場合も多いです。