長年の胃腸症状が、鍼灸施術により改善した例 (大阪市 40代 女性)
お悩みの症状
今回の患者さんは、胃腸症状の方です。病院では「機能性ディスペプシア」と言われたようで、他に、軽度の「逆流性食道炎」もあるとのことでした。
「機能性ディスペプシア」と言われる場合は、大体の方が、検査をしてもはっきりした原因が無いにも関わらず、胃の動きや消化吸収能力が著しく低下しています。 なので、胃薬の処方で効果が出ない場合は、心療内科などで自律神経の安定を図るために精神薬や安定剤による自律神経の調節を行うようにします。
胃腸の働きは自律神経(その中の迷走神経といいます。)による調節が主で、現代人のように、ストレスがあったり、夜遅く寝る・睡眠時間や食生活の乱れ・夏場でも建物内で冷える・気象的に、気圧などの急な変動がある。などの理由から非常に自律神経が乱れやすい世の中になってきています。 それに加えて、食事の摂り方など様々な要因が重なり、複雑な状態になる方が多いです。 逆流性食道炎も、自律神経による影響がほとんどで、西洋医学では中々改善が難しいです。治療方法
1.カウンセリング・検査
2.脈診、舌診、腹診で体の状態の把握・症状と照らし合わせる。
3.ハリの説明を治療前に行う
4.上向きで手足と頭に数本ハリを打つ
5.抜いてうつ伏せになり、背中にハリを打つ
当院での治療後の患者様の感想
最初に来院された時は、常に胃もたれがあり、食後に数時間胃もたれが強くなる状態でした。 腸の動きも悪く、常にお腹が張って、「チャポチャポ」と水が中にある様な音がしていました。食欲も低下しており、日に1~2回程度しか食事が摂れないとのことで、胃腸の動きのほかにも、免疫力が非常に低下している状態でした。
まずは舌と脈、腹部の状態を触って確認し、ひとつひとつの症状と、東洋医学的にどこが悪くなっているのかを見定める必要があります。
まず、胃もたれが強くある状態は、食欲があるか無いかで状態を見極める必要があります。 また、食後・食前・それ以外の時間に胃もたれがどうなのかでも、判断が変わってきます。
それを脈や舌、腹部の状態と照らし合わせていく必要があり、腸の動きも悪いため、複雑な病態をしっかり把握しないと効果は出ません。
病歴が長くなればなるほど、原因がひとつでは無くなることがほとんどのため、病院の薬だけでは対処ができなくなってしまうわけです。
今回の方は、病の根本は「脾(ひ)」といって、消化・吸収能力を維持する機能のことで、西洋医学では「胃腸」の機能のことを表します。 それが弱くなる「脾虚(ひきょ)」という状態になり、消化吸収の能力が著しく低下していました。
また、「脾」という臓器は、東洋医学的には「湿邪(しつじゃ)」という体に対する邪気をさばく機能がありますが、それも同時に低下してしまうため、天気に影響を受けたり、特に梅雨時期や高温多湿となる日本の気候では症状が強くなります。
日本人は胃腸が弱いというのは、気候的な問題やストレス社会と言われてしまう日本特有の原因があったりもします。胃がんや大腸がんが多いのも、東洋医学的には関係が大いにあるものと考えます。
先ほどの「湿邪」が体の中に増えていくと、リンパの流れが悪くなり、むくみが強く出ます。 身体の中の余分な水分が常に溜まってしまっているようなイメージです。 また、腸や胃の粘膜には、近くにリンパ節が多数存在するため、「湿邪」が多くなると胃腸の働きが悪くなってしまうのです。
この「湿邪」が胃や腸に増えてしまうと、「チャポチャポ」と水が溜まっているような音がします。
この方の場合、食事の不摂生や元々の体質から「脾」の機能が低下し、消化吸収能力の低下と、「湿邪」をさばく力が低下することで、体全体がむくみ、常に体が重い、胃腸の働きを阻害している。という状態になっていました。
更に、常に胃もたれがある。という「ストレス」により、胃腸を動かすための自律神経の働きが乱れてしまい、今の状態となっていました。
病歴が長いため、体質改善をしっかりとする必要がありました。 なので、最低でも週に1回・3カ月程度の通院をお願いしました。 これは、医学的にも分かっている、身体の細胞が生まれ変わっていく周期となりますので、これ以上早く良くなるというのは、昔からある症状の場合は難しいです。
上記にならって施術を続け、2カ月程経過するころには、毎日食事を3回しっかりとることができるようになりました。 しっかり食事を摂ることができるようになると、もちろん体力もしっかっりつくようになり、以前より数段元気になっていました。
そこから胃もたれがほとんど出なくなるまで、さらに2カ月程かかってしまいましたが、薬を複数服用していても効果が芳しくなかった状態が数年にわたり続いていたため、改善した事をとても喜ばれていました。
このように、しっかりと病態を把握し、適した施術をすることで、しつこく、あきらめかけていた胃腸症状でも改善する場合は多いです。