味覚障害が鍼灸施術で改善した症例【兵庫県 40代 男性】
お悩みの症状
今回の患者さんは、2年ほど前に体調を崩してから、味覚障害、嗅覚障害が出現した方です。病院では、画像診断の末「副鼻腔炎」による症状とのことでしたが、 副鼻腔炎の薬を使っても効果が無く、手術を勧められたそうです。
ただ、薬も効かなかったのに手術をするのはリスクもあるしどうなのか?と疑問に思い、色々と調べた結果、当院へ来院されました。治療方法
1.カウンセリング・検査
2.脈診、舌診、腹診で体の状態の把握・症状と照らし合わせる。
3.ハリの説明を治療前に行う
4.上向きで手足と頭に数本ハリを打つ
5.抜いてうつ伏せになり、背中にハリを打つ
当院での治療後の患者様の感想
今回の症例は、まず「なぜ味覚・嗅覚障害が起こっているのか。」というのが大事になります。 味覚・嗅覚障害を起こす原因は様々ありますが、主に鼻腔内にある嗅覚を感じる組織(嗅毛(きゅうもう)といいます。)に何らかの影響で変性や炎症が起こり、感覚がなくなってしまう場合。また、外傷などのケガによる骨折や神経損傷、脳梗塞などによる脳神経自体の損傷です。
今回の患者さんは、体調不良が原因とのことで、外傷や脳梗塞などのはっきりした原因が無い方でした。 なので、体調を崩したのをきっかけに、身体の免疫力が低下して、副鼻腔炎になってしまったということですね。
副鼻腔の奥に、上記の嗅毛部があるため、炎症が起きたりすると腫れてしまい、においや味が分からなくなってしまいます。 現在流行している新型コロナウィルスでも、味覚障害は後遺症としてよく訴えられている症状ですが、これに関しても同じことが起こっていると言えます。嗅毛部は非常に奥に存在する組織のため、薬でも効果が出にくい場合も多いです。 また、手術をしたとしても、もし嗅毛を傷つけてしまうと、元に戻ることが無くなってしまうため、リスクもあります。
ただ、嗅毛と言われる組織は非常に小さく、なんと5000万~1億本生えているともいわれるため、すべてを壊してしまうなどはほとんどないと思われます。それだけ多い組織ですが、少しでも破壊してしまうかも・・・と思うと怖いですよね。
さて、東洋医学的には、味覚や嗅覚は「腎」、「肺」、「心」が大きく関係しており、 西洋医学の腎臓、肺臓、心臓とは少し異なります。東洋医学の「腎」は、泌尿器科系の調節以外にも、全身の水分代謝や根本的な機能を司ると考えます。 嗅覚や味覚など、生まれつき備わっているような機能が低下している場合も、「腎虚(じんきょ)」といって「腎」の機能低下を疑います。
「肺」は、気管支や鼻腔機能も含め、汗腺などの皮膚の異常も司っていると考えます。 副鼻腔炎や花粉症、アレルギー性鼻炎などは、この機能が低下することにより起こると考える場合が多いです。
「心」は、心臓の心ですが、東洋医学では血行を良くしたり、他にも精神的な調節や、なんと舌とも関係すると言われており、味覚や嗅覚異常の場合は、この機能の調節も大切となります。
西洋医学と似ている部分もありますが、東洋医学ではやや抽象的な機能をしていくというイメージとなります。
それを、脈や舌、腹診などを踏まえつつ、どこが一番原因となっているのかを見極めていきます。 今回の患者さんは、罹患してからだいぶ時間が経過しており、色々な原因が混ざってしまって複雑になっていましたが、3カ月程が経過すると、疲労が溜まってないときは味を感じるようになってきました。
そこからさらに2カ月程で、症状が安定してきたため、一度通院は終わる形としましたが、現在も身体の日々のメンテナンスで通院をして頂いています。 その後、味覚や嗅覚の異常は再発していないようです。
このように、西洋医学では難しい神経や感覚の障害でも、鍼灸施術では機能を上げたり、元に戻すようにできる場合もあります。 これからの時期であれば、花粉症などのアレルギー疾患も施術が可能です。 薬では対処療法になってしまう場合がほとんどですが、鍼灸施術ならある程度改善している状態が続くことも多いですよ。